9.エンマ #梅太郎伝説
ドアの向こうに入ると、
とてつもなく大きな柱が6本ある。
まるでここまで来いと導かれるように整列されている。
薄暗く、湿った空気が漂っている。
奥まで見えない。
恐怖という言葉が似合いそうだ。
あまり怖がりではないが、体は正直で
足が震えて止まらなく、一歩目が出ない。
スタスタスタスタ
「…おーい、梅太郎!こっち広いぞ」
シャフトはいい意味で、度胸が据わっているな。
気が軽くなった。
数メートル歩いたところ、広い空間に着いた。
「…行き止まりみたいだな。エンマはどこにいるんだ?」
シャフトの声が広い部屋の中で響いた。
何だよ、この部屋はハズレなのか?あれだけ大きいドア作るなや。
その時、体に突き刺さるような突風が吹き荒れた。
正面を見てみると、大きさは、2メートルほどで青色のムキムキな体、
頭には二本の角、凄まじい牙、黄色いトラ柄のパンツ…
…フォルム青鬼じゃね?
「待っておったぞ、梅太郎。私がエンマなのだ。よくぞ、私の手下である猿、犬、記事を倒すことができた。褒めてやろうなのだ。ときに、梅太郎。なぜ、私がこの鬼ヶ島に君臨しているかわかるか?」
「ーーーーー?」
「お前をあの”始まりの町”に留めていくために私がここに君臨しているのだ。」
「何のために?」
「死にゆくやつに、説明する必要がないのだ。」
このエンマの、語尾の"のだ"が気になって、耳に話が入ってこない。
「おい、エンマ!語尾の"のだ"気になるぞ!」
シャフトのそのストレートな表現力は、ときに死を意味することがないかと心から心配してしまう。
「ーーーーー」
やべぇぞ。完全に切れていらっしゃるのではないか?
「…それで…いいのだ」
「ーーーーー」
「ーーーーー」
「ーーーーー」
「…ヒャッハッハー」
陽気なやつでよかった。しかし、にじみ出る悪いオーラ。
とてつもない強さを感じた。とりあえず、武器は、そこらで拾った棍棒
海賊みたいな服、鉄の盾である。なぜか、盾だけ最初にしては
豪華であった。
「冥土の土産で教えてくれないか?気になって死んでも死にきれない。」
梅太郎は、純粋に気になってしまったので、シンプルに質問してみた。
「…まぁ、それもそうなのだ。私のボ…」
「くらえぇぇぇ!!回転の術!!」
チュウチュウチュウ
エンマが語ろうとしているのに攻撃を仕掛けてた。
てか、喋ってくれそうだったのに、余計なことするなや。
エンマは、不意を突かれたのか、結構痛そうにしている。
ん、畳み込むなら今ではないか?
梅太郎は、理由はともかく、倒せば外に出られると判断し、
こんぼう高く振り上げ、エンマに立ち向かっていった。