1.はじまりはじまり #梅太郎伝説
昔々あるところにおじいさんとおばあさんがいた。
おじいさんとおばあさんには子供がいなかった。
毎年梅を作っており、
今年も梅ができる時期がやってきた。
梅の木は、数年前に植えて今では、数十メートルまで育った自慢の木である。
おじいさんは、玄関に出向き、靴を履き庭に出た。
子供たちがはしゃいで走れるくらいの広さを誇る自慢の庭だ。
今日は晴天。
梅を取るときに見上げる梅の木は、残り短いであろう人生の中で
幸せな瞬間である。あと何年見れるだろうとも寂しい気分にもなる。
曲がった腰と背中を精一杯伸ばし、梅を数個を摘み取った。
鈍い痛みが背中に来たが、それも心地いいかと思い、家の中に戻った。
「ばあさんや、今年もたくさん梅が取れたぞ」
長年付き添ってもらっている伴侶は、髪は白髪で真っ白になってしまったが昔から変わらず、優しい笑顔が特長だ。
「まあ、まあ、今年もたくさん取れましたね」
梅の木を育て始めてから、毎年同じ言葉を言ってくれる。
ありがたいことに大量に収穫できているおかげだ。
さぁ、食べよう。
その時、梅が光り始めた。閃光と言ったほうが正しい。
目が開けられないくらい眩しい。そして、家中が光に包まれた。
ほんの数秒だった。
ゆっくり目を目を開けた。まだ、視力が回復していないが、ぼんやりと周りが見え始めた。
「ばあさん、大丈夫か?」
腰を抜かしているが、どうやら大丈夫そうだ。
ただ、様子がおかしい。アワアワしながら梅の方を
指をさしてる。
指が示す方向に目をやると、、、
これは驚いた。たまのような男の子が目の前にいるではないか。
おい、まてまて。梅は大きくてせいぜい5cmくらいだ。
”桃太郎”という話で桃から子供が生まれるということは知っているが、川からどんぶらこと流れてきた桃は80cmくらいあったはずだろう。
ありえない話の中では、それでなんとか成立されるだろうが。
「お、お前は、まさか、梅太郎!?」
えー、ばあさん、まさかのトチ狂った発言だ。何が何だかわからない。
「ば、ばあさん。この子を知っているのか?!」
「あれは、50年前の話だったな。。。」
ふつふつと沸く怒り。何なんだこの状況は。
「そんな話聞きたくないわ!!」
…私と婆さんは、昔、競技場でお互い成長し合い、
戦いあった戦歴がある。
一気に口論になり、
そして、二人の戦いが始まった。