ダン吉の日常

ダン吉の趣味の部屋やで

2.激闘 #梅太郎伝説

武器はない。素手素手の戦い。

 

懐かしいこの感じ。何年ぶりだろうか。

格闘家としての血が蘇ってくる。

 

しかし、お互い衰えたものだ。

全くキレも力もない戦いが続いた。

 

==

 

「はあはあはあ…」

 

長い攻防に二人共息が上がっていた。

昔と変わらず力は互角。このままではキリがない。

このまま、終わると思ったが、

 

「…私の力がこんなもんだと思ったのか?」

 

なに?ばあさんは、力を隠していたのか?

 

シュビビビビビーン

 

みるみる内に進化を遂げていくばあさん。

肌は若返り、淡い赤色のオーラをまとっている。

少なくとも30歳は若返っている。いつの間にこんな力を得ていたんだ。

 

「私に勝てるとでも思ったか?シャイニング婆とでも名乗ろうか。」

 

これには驚いたが、

 

 

奥の手とは、最後まで取っておくものだ。

 

バババババーン

 

凄まじい効果音とともに、

じいさんの筋肉が盛り上がり、青い光が発せられた。

まだ一度も見せたことない力がここで発揮される。

 

「さあ、婆さんや。いや、シャイニング婆。戦いの続きと行こうか。」

 

「面白い。。。いざ!!」

 

==

 

凄まじい攻防が繰り広げられた。

シャイニング婆から繰り出される最大級魔法。

ここでは、ジャスティス爺とでも言おうか。

魔法も跳ね飛ばす強靭な力で、家の中はぐちゃぐちゃになったが

原型を保っているな。この家の作りはどんな風になっているんだ。

 

もう泣くのも疲れた梅太郎は、ゆっくりと戦況を見つめている。

 

なぜ、ここにいるのか。

なぜ、おじいさんとおばあさんは戦っているのか。

なぜ、赤ちゃんの姿をしているのか。

 

全くわからない。

 

ただ一つ、悟ったことがある。

おそらく、桃から生まれる予定だったのが

何かの手違いで梅から生まれてしまったのだろうと。

 

話を間違えていると。

 

しかし、こんな姿では、何もできないため。

梅太郎は考えた。

 

その結果、とりあえず、おじいさんとおばあさんの

この喧嘩を止めことが、使命だと自分に言い聞かせた。

 

今できること。

 

それは、

 

力いっぱい泣くことだ。流石に喧嘩も止まるだろう。

 

「オギャアアアアアアアアアアア!!」

 

「!?」

 

シャイニング婆とジャスティス爺はどうやら気づいたようだ。

一度戦いを止めてこちらに向かってくる。作戦通りだ。

そして、梅太郎の前で足が止まった。

 

「うるせえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 

右の頬にシャイニング婆のアッパー

左の頬にジャスティス爺のアッパー

 

がクリーンヒットした。

予想外の出来事に混乱以外なかった。

え、子供だぞ。優しくしろよ。

 

そんなことも思う余裕もなく、

家の天井を突き破り遥か彼方に旅立った。

 

「これで邪魔者は消え去った、さあ、続きを始めよう」