4.鬼ヶ島 #梅太郎伝説
あれから、16年が経った。考え方はあまり変わってないが、体は成人になった。
おじいさんとおばあさんも16年歳を重ねたはずなのでもはや生きてるかどうかは分からないが、あの二人のことだ、そんな簡単にくたばるわけがない。
さて、この街にも慣れた。始まりの街は、4世帯しかない小さな街だ。ポケモンで言うとマサラタウンくらいだ。
「よう、梅太郎、今日も元気か?」
声をかけてきたのはシャフトだ。いつも忍者みたいな格好をしている陽気な同世代のやつだ。気が知れたやつで、いつの間にか仲良くなっていた。しかし、なぜ忍者みたいな格好をしているのかは謎だ。
この街を北に抜けると、大きな浜辺がある。
七色に光る…とは程遠いが、それなりに綺麗な海である。
ここ最近、この浜辺よりさらに北にある島で悪い奴が良からぬことを考えているとの事だった。
通称鬼ヶ島。
…恐らく、俺は、流れ的にここに行き、悪いやつを退治する必要があるのだと確信をしていたが、そのフラグが中々回収が出来ない。
あの狭い街での会話はやり尽くした。
また、南から外に出られるが、不思議な力で出られなくなっている。
…今のところ、詰んでいる。
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途方に暮れて、海の遠くを見ていると、緑色のモザイクがうろちょろしてきた。
…気持ち悪るッ
しかし、あからさまにフラグだと感じ取った梅太郎は、恐る恐る話しかけてみた。
「梅太郎さん、悪い村人から助けていただきありがとうございます。お礼に鬼ヶ島にお連れいたします。如何いたしますか?」
ん?急展開すぎないか?せめて村人いじめシーンをつけてくれよ。それ以上に、連れて行くなら、竜宮城にしてくれよ。
▷はい。
はい。
選択肢も、はいしかないし、どうなってるんだ?
と、不貞腐れた梅太郎であるが、これは強制イベントだと言い聞かせて、はいを選び、鬼ヶ島に向かうことを決心した。
最低限の装備で。