6.裏切り #梅太郎伝説
洞窟の中を覗くと、暗そうだったが、所々にたいまつがセットされているため、歩く分には問題なさそうだ。
「さぁ行くぞ、犬、猿、キジ」
梅太郎は、歩き出したが彼らがついてくる気配がない。
振り返ると、3匹はまるで仁王立ちをしているように横に並んでいた。
「どうした?怖気付いたのか?」
…返事がない。もしかして、何か結界が張ってあり、これ以上進めないのか?
梅太郎は、色々な思考を巡らせて考えた。その時、どこからともなく声が響いた。
「ふふふ、良くやった、犬、猿、キジ。そやつをよくぞここまで導いたぞ。」
禍々しい声が洞窟に響いた。ボス感が半端ない。
「さぁ、そいつを始末してしまえ!!!」
えー、怪しさ満点だったけど、その通りって。
しかも100メートルくらいしか一緒にいなかったし、なんなら進むしかないこの状態で導くもクソもない気がするが。
そう梅太郎が思っている内に、三匹は戦闘態勢に入ってきた。フィールドのアイコンは可愛らしかったのに、戦闘に入るとえげつないくらいのモンスターグラフィックに驚く。
そんなことより、この状況まずい。一人じゃ分が悪すぎる。
キュルキュルキュル
突然、変な効果音が流れてきた。なんだ?
「助けに来たぞ、梅太郎!」
シャフトだ。どうやら追って助けに来てくれたらしい。
「おぉ、シャフト、助けに来てくれてありがとう!しかし、何でここにいることが分かったんだ?」
「海辺に散歩していたら、怪しいモザイクの亀がいたから話しかけたら、いつの間にかここについたんだ。橋を進んでいたら梅太郎が桃太郎みたいになっていて面白かったら後をつけて影で笑ってたって寸法よ」
なんだか無性に腹が立ったが、それでも助けてくれたから良しとしよう。しかし、あのモザイクの亀はなんなんだ。ただの移動手段だったのか。いじめの下りいらねーじゃん。
「…来るぞ、梅太郎」
そうだった。そんなこと考えている場合じゃなかったと、反省した梅太郎であった。
==
「…くっ…力及ばず、申し訳ない…エンマサ…マ…」
犬を倒し、これで全員倒し見事勝利した。
「ん?今、エンマって言ってたな。鬼ヶ島に鬼がいないなんてどうなってんねん。」
シャフトの下手くそな大阪弁は、置いておいて、確かに変な話だ。なんでエンマなんだ?
ただ、何だろうと平和を見出そうとしていることには間違いない。
二人は、とりあえず、奥に進むことにした。