ダン吉の日常

ダン吉の趣味の部屋やで

14.有力な情報 ♯梅太郎伝説 あと目指せ146話

「ほーれ、ほーれ」

 

シャフトは、ベタベタのパンプキン漬けやくそうをP.パンプキンの前で見せびらかした。シャフトの袋は、見るも無残にベタベタだ。

 

「わ、わかった。い、いいことを教えてやる。だ、だから、そ、それをは、早く、、、」

 

「ダメだ、先に情報と1000Gだ。」

 

えー、本人のものを取った上で、それを1000Gで売りつけようとしている。なんという商売上手なやつなんだ。

 

「わ、わかった、、、」

 

シャフトは、1000G手に入れた。

 

えー、払っちゃうの?

あー、こんな優しい世界に生きられたら、どんなにいいことか。

 

「わしは、いつも夜外を見ている。そこでわかったことなんだが、午前二時必ず、兵士の交代時間がある。その時ほんの少しだが、門がガラ空きになる時がある。そこを狙えば、とりあえず、城の敷地内には入れるはずだ。そして、城より西側に兵士が休憩する場所がある。そこも交代の時間のため、兵士がいない。だから、そこで兵士の服を着て、城に侵入してみろ。そこから先は、わしは知らん。だ、だから、は、早く、そのや、やくそうを。」

 

もうなんか、かわいそうになってきた。

 

「シャ、シャフト。すごく有力な情報をもらったから、もう渡してやれよ。」

 

「ほらよ。」

 

シャフトは、P.パンプキンめがけてやくそうを放り投げた。パンプキンの液体が部屋中に飛び散った。

 

「ヒャッホー!!」

 

これでもかってくらい、はしゃぎ狂っている。まるで、子供のように。

 

「シャフト、とりあえずなにかしないと話が進まないから、深夜に城に侵入してみよう。」

 

「そうだな、なんかワクワクするな。潜入捜査ってやつだな。」

 

まあ、そうだけど、入ったあとはノープランなんだよな。宿屋に行って、とりあえず、作戦会議でもするか。

 

「P.パンプキンさん、有力な情報ありがとうございました。感謝します。」

 

「ヒャッハー!!」

 

…嬉しすぎて聞いていないようだ。

 

「さあ、梅太郎、こんなところ、さっさとずらかろうぜ。」

 

シャフトは、部屋を荒らして、物を奪って、それを高値で売ったあげく、さっさとずらかろうぜとは、こいつは天国にはいけねえな。と、思っているうちに、シャフトは、はしごを上ってさっさと外に出て行った。

 

この所業、少し、心が痛んだので、もう一度、P.パンプキンに目をやる。

後ろ姿であった。猫背気味に、ぴたっと止まっていた。もう喜びを通り越したって感じのオーラが出ている。

 

まあ、本人が良かったと思うなら、それは幸せなんだろうな。

 

梅太郎は、はしごをのぼって外に向かった。

 

「…」

 

パンプキンの口元が少しつり上がったように見えたのは、気のせいだろうか。